西村京太郎氏、逝去

 3月6日、ミステリー作家の西村京太郎氏が亡くなりました。91歳でした。

ご冥福をお祈りいたします。

亡くなる直前まで原稿を執筆されていたとのことで、生涯現役の小説家で

ありました。デビュー当初の作品は社会派小説が多かったようですが、

読みやすい文章と時代のトレンドを積極的に題材に取り入れる姿勢で

広い世代で読まれるようになりました。

特に「十津川警部シリーズ」は刑事小説に鉄道ネタと日本各地域の

観光地や文化歴史を組み合わせた独特のスタイルで、それまでミステリ―に

興味がなかったような鉄道ファンや旅行好きも引き込んで、空前の長期人気

タイトルとなり、「トラベルミステリー」と称される新しい分野を

作り出しました。テレビ局や観光業界としても観光地の宣伝に繋がるので

二時間ドラマで頻繁に映像化され、主にテレビ朝日とTBSが競うように

一時期は年4回ペースで放送されていました。

私も中学生の頃から大ファンでして、小遣いをほぼ注ぎ込んで新刊や

古本を買い集め、読み漁っていたものです。思えばあれが私の最初の

「オタク活動」だったんですよね。私の青春でありました。

十津川警部シリーズ」が始まったのは約40年前。始まった頃は

まだ「日本国有鉄道」で、寝台特急ブルートレインの全盛期。

その後、国鉄は解体されてJRになり、JRになってからも既に35年。

時代とともに新しい列車が登場した一方、多くの列車や路線が廃止され、

旅行スタイルや警察の捜査手段も変化していきましたが、

常にトレンドを追い続け、小説の題材として取り入れてきたからこそ、

ここまで長く愛されるシリーズになったのだと思います。

ファンの一人として長く楽しませていただいたことに

心から感謝を申し上げます。

西村京太郎先生、ありがとうございました。