ロシア、ウクライナに侵攻

 2月24日、ロシアがウクライナに侵攻しました。

ここに至る経緯は複雑で、ロシアとウクライナの歴史的および地政学的関係、

ウクライナEUへの接近とNATO加盟打診、ウクライナ東部の親ロシア勢力と

2014年のロシアによるクリミア半島占拠などが絡み合っています。

ロシアとしては、かつて共にソ連の構成国であったウクライナは安全保障上も

西欧に対する親ロシア寄りの緩衝地帯であることが望ましく、

ソ連の軍事同盟として結成されたNATOへの加盟などもってのほか。

ウクライナとしては、過去に帝政ロシアソ連に虐げられた過去もあって

ロシアの影響下から離れたいと思っており、そもそも国家の方針を

自分たちで決めて何が悪いのかとなる。

ロシアを抑え込んでおきたい欧米諸国はウクライナに秋波を送って

NATOに誘っておきながら、いざロシアが怒り出すと及び腰。

どの国にも事情があるのは確かですが、少なくとも

「他国を武力を使って従わせる」ことが正当化されるはずはありません。

しかもロシアは国連安全保障理事会常任理事国ですよ。

第二次世界大戦戦勝国クラブとして始まった国連が構造的な欠陥を

抱えているのは周知の事実ですが、今回の件で完全に機能不全を

さらけ出しましたね。

先月から緊張が高まり、ウクライナ国境付近にロシア軍の大半が集結。

外務省から邦人の国外退避勧告が出る事態になっていましたが、

「ここでウクライナに侵攻したところでロシアにはデメリットが多過ぎる、

本当に侵攻するはずがない、脅しに過ぎない」という楽観論は直前まで

根強くありました。

が、現実は非情であり、恐れていたことが本当に起こってしまいました。

昔から戦争っていうのは合理的な理由で起こるもんじゃないんですよ。

平和な民主主義国家に育った頭のいい人たちには理解できないかもしれませんが、

国家はときに無茶苦茶な理屈を並べて実力行使にでます。

そもそも80年前にそれなりの民主主義の体裁をとっていた国家でありながら

明らかな国力差があるアメリカに対して「大和魂がある」「大東亜共栄圏

などと言って希望的観測のもとに無謀な開戦をした極東の島国がありますし…

国家間の戦争は善と悪の戦いではありません。

よくて正義と面子の張り合い、場合によっては理不尽な蹂躙です。

そしてそれに巻き込まれる最大の被害者は国民です。

事態が早期に収束することを願うばかりです。